美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが行っていた愛知県の大村秀章知事に対して リコール署名が8割に無効の疑いがある問題が報道されました。
今回はこの問題に関連した『署名活動』についての記事となります。
署名についての話が出てきたときにこのような疑問を持った方もいるかもしれません。
・署名活動に法的効力はあるのだろうか
・署名は何処まで書けば有効なのか
・電子での署名の有効性はどうなのだろうか?
今回はこの度のリコール署名疑惑のお話に加え、署名活動についての情報発信および考察をお伝えします。
愛知県知事リコール署名の疑惑が報じられる

美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らによる愛知県の大村秀章知事へのリコール署名で8割に無効の疑いがある問題
~中略~
この問題は中日新聞と西日本新聞が16日に報じたもので、名古屋市の広告関連会社の下請け会社が人材紹介会社を通じて多数のアルバイトを募集し、愛知県民らの名前や住所が書かれた名簿を、リコール活動団体の署名簿に書き写させていた、とする内容。
・2019年に開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で「表現の不自由」をテーマにしたコーナーが設けられたことに対して、高須委員長らが主導で起こしていたリコール署名
・86万人ほど必要だった署名だったが、約45万人の署名に留まりリコール署名は不成立。
・集まった署名の内の36万2千人、全体の8割が無効の疑いがあるとのこと。
リコール署名についての要点まとめ
地方自治体におけるリコール運動について簡潔にまとめます。
・普通地方公共団体の住民(すなわちこの場合愛知県民)は解職を請求する権利をもっている。
地方自治法第80条に今回の件に直結する内容が書かれており、今回の場合は有権者86万人の署名が必要とされています。(このリコール署名の活動が愛知県で行われていました。)
・署名については、無効にされるケースがある。
(今回関連している点は『法令の定める成規の手続によらない署名』がある可能性に対して)
リコール署名に必要な情報とは
①日付
②氏名
③住所
④生年月日
⑤捺印
※捺印はハンコ改革の件もあるので今後のリコール署名には必要にならなくなる可能性はありますが、今の時点ではこれらの情報が必要とされています。
無効署名8割が示す闇

先ほどの記事にあるように、広告関連会社の下請け会社がアルバイトに対して愛知県民らの名前や住所が書かれた名簿を、リコール活動団体の署名簿に書き写させていたという疑惑が挙げられています。(=署名偽装)
ここで問題になるのが大きく分けると2通りあります。
闇① 個人情報が悪用されている点
今回のリコール署名で悪用された人が相当数いると断言しても良い事件です。
今回は無効署名になるだけになるでしょうが、下手をすると悪用されて犯罪者に仕立て上げられる可能性もある恐ろしい状態です。
闇②『何かの意志』で1人のリーダーを罷免させようとした可能性
8割が無効票として、住所等の書き漏れがある可能性も考慮される点ではありますが、流石にあったとしても1割あるかどうかではないでしょうか。
つまり、罷免させるまでの意志を県民が示していなかった可能性が非常に高いということです。
個人情報を勝手に使って都合の悪い人を蹴落とそうとする。
『衝撃的なニュースだ。目を疑う。まさしく組織的な不正の一端が報道されたと受け止めている』
と大村知事が述べたように、この方法がまかり通っていれば非常に大きな問題です。
署名活動の有効性と影響

今回はリコール署名であり、この署名が有効数集まれば強い効力を持ちます。
一方で、普段私達が要望を出すために集めている署名はどうなのでしょうか。
署名の効果について規定している法律はない
要望等の署名については強い効力は持ちません。
多くの署名を個人や団体が受け取ったとしても、判断は相手側次第と言う形です。
結論としては有効性としては今回の署名よりは低いものになります。
とはいえ、決して効果がないわけではなく、これらの署名はどちらかというと『意思表示』の手段であり、特にメディア等で取り上げられることによるアピール材料としては有効に働く可能性はあります。
国民がある団体等に意見を伝える手段は特殊なケースを除き、署名活動ほど有効なものはありません。
署名がたくさん集まることにより、『なんとかしなければ』という心理状態になれば改善へつながる可能性があります。
電子署名の有効性
2013年に『電子署名法』というものが制定されています。
昨今では様々な契約時に電子署名をするケースも増えてきました。
法務省のホームページに電子署名に関する記載があった為、正規の手続きを踏んだ署名は有効と考えられます。
つまり、要望に関する署名についても手書きの署名と同等の意思表示となり得るでしょう。
電磁的記録(電子文書等)は、本人による一定の電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
リコール署名疑惑により、署名活動に悪影響も
署名活動は国民を声を届ける1つの手段ではありますが、今回の問題により署名の信ぴょう性が低下する結果となれば、ますます国民の声がとどかなくなるのではないかという懸念があります。
不正署名が当たり前のようにまかり通ってしまえば、そのような声を真摯に受け止めなくなる可能性もあります。
昔話にも似たような話がありますよね。狼少年のお話……。
不正署名関連のコメント

つまり、金を出した者が今回の首謀者。
政治家が関わっていたら、所属政党も解党すべき重大事件。
何しろ報酬が発生しているので、もう言い訳はできない。
厳罰に処さなければ、民主主義の根幹が揺らぐ。
その情報はどうしたのでしょうか?
広告会社がもともと持っていたとしても、目的外使用で個人情報保護法違反では
(YAHOO!ニュースのコメント欄より引用しています)
リコール署名疑惑に関する所感
今回、愛知県知事のリコール署名の記事を見て、久々に記事作成を行いました。
署名の偽装も勿論ですが、それだけ個人情報が洩れていて悪用されている現状に非常に危機感を持ちます。
言ってみれば、勝手に個人情報を犯罪に使う事は可能だと証明しているようなものです。
そして、8割が無効となれば、『特定の何かの意志』により罷免させようとしていたことが暗に示されているので、不正云々以上に深刻にとらえた方が良いでしょう。
正直なところ、ほとんどの人の個人情報は洩れていると考えた方が良いです。
愛知県で起こっている問題ではありますが、他人事と思わずに日本のこの状態に対して危機感はもつべきではないかと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。