忙しい毎日の中で、あなたは「本当に大事なこと」に時間を使えていますか?
私たちは日々、多くのタスクや責任に追われ、何が優先すべきことなのかを見失いがちです。
気づけば、「急ぎの対応に追われるばかりで、重要なことに手をつけられない」――そんな状況に陥っていないでしょうか?
そこで役立つのが「緊急度と重要度のマトリクス」です。
これは、タスクを「緊急度」と「重要度」で分けて優先順位を明確にし、日々の行動を整理するための方法です。
あなたの価値観や目標に合わせて、本当に大切なことに集中できる環境を整えるための支援となるでしょう。
この記事では、「マトリクスの基本から具体的な使い方まで」をわかりやすくご紹介します。
このツールを使って、目の前の忙しさに振り回されることなく、自分にとって価値ある時間を手に入れ、充実した日々を送りましょう。
緊急度と重要度のマトリクスについて
私たちは日々、多くのタスクや責任に追われる中で「何を優先すべきか?」と悩む場面が多くあります。
特にビジネスや自己成長を考える上で、タスクの優先順位を誤ると、効率や成果に影響を与えます。
そこで活用されるのが「緊急度と重要度のマトリクス(別名:アイゼンハワーマトリクス)」です。
このマトリクスは、アメリカの元大統領であるドワイト・D・アイゼンハワーが用いていたとされ、タスクを「緊急度」と「重要度」に基づいて分類し、優先順位を明確にする方法です。
緊急度と重要度を表す4つの領域について
緊急度と重要度のマトリクスは、効率的に時間を管理し、生産性を高めるために非常に役立つものです。
これを使うことで、「今すぐやらなければならないこと」と「本当にやるべきこと」をしっかり区別し、日々の行動に優先順位をつけることができます。
ここでは、マトリクスの4つの領域を具体的な例を交えながら詳しく説明し、実生活での活用方法を考えていきます。
1. 第1領域(緊急かつ重要)
第1領域には、今すぐ対処が必要な重要度の高いタスクが該当します。
この領域を放置すると深刻な影響が出るため、迅速な対応が求められます。
具体例:
- 締め切りが迫っているプロジェクト
- 急なクレーム対応
- 突然の体調不良への対応
2. 第2領域(重要だが緊急ではない)
第2領域には、長期的には価値があるものの、後回しにされがちなタスクが該当します。
この領域に多くの時間を割くことで安定した成果を得やすくなるため、将来のリスクを減らす重要な領域です。
具体例:
- 長期目標の計画を立てる
- 新しいスキルや資格の学習
- 健康維持のための運動や食事管理
3. 第3領域(緊急だが重要ではない)
第3領域には、「緊急性は高いものの、実際には自分にとってそれほど重要ではないタスク」が該当します。
過度に引き受けてしまうと、本当に重要なタスクに影響が出てしまいます。
具体例:
- 繰り返しのメールや電話対応
- 同僚からの急な頼まれごと
- 急に決まった会議や簡単な確認が必要な雑務
4. 第4領域(緊急でも重要でもない)
第4領域には、「無駄な時間になりがちなタスク」が該当します。
リラックス目的であれば、計画的に行動するようにしましょう。
具体例:
- SNSの頻繁なチェック
- 何も考えずに行うネットサーフィン
- 長時間のテレビや動画の視聴
緊急度と重要度のマトリクスを日常へ取り入れる3ステップ
では、ここからは3つのステップに分けて、緊急度と重要度のマトリクスの活用方法を確認していきます。
ステップ1:現状把握のために3つの習慣を取り入れる
まずは、マトリクスに当てはめて視覚的に確認できるように、下記の3つを習慣づけてください。
①1日のタスクを思い出してみる
このマトリクスのワークに活用するために必要なことではありますが、「思い出す習慣」は、あなたの記憶力を向上させるためにも効果を発揮します。
何かを学習する上で、「物覚えが悪いな」と感じることはありませんか?
その理由は、脳は「思い出さなければならないことを重要なことだ」と判断する傾向があるからです。
逆に「思い出す前提」を意図してなければ、すぐに忘れてしまいます。
「復習の方が大事だ」といわれる理由もここにあります。
②:スケジュール帳に一日にやったことを記入してみる
日々の行動をスケジュールに記入してみましょう。
具体例がなければ、このマトリクスを完成させられないので、まずは1週間分のタスク実績を確認することを第一目標に取り組んでください。
③:マトリクスを定期的に振り返る
「自分は大丈夫」と思っている方こそ、このマトリクスを定期的に確認することをおすすめします。
確認する理由は二つあります。
①定期的にタスクを見直すことで、確実に進捗を把握できるから
②現状に不安や課題を感じているなら、「何を優先すべきか」をしっかり確認できていない可能性があるから
特に②を放置してしまうと、後のタスク管理に影響が出やすくなりますので、定期的に振り返ってチェックすることが大切です。
虫歯予防のために定期健診を受けるのと同じように、時間の使い方も日々チェックしましょう。
ステップ2:現状を把握してマトリクスに当てはめてみる
毎日、あるいは週の終わりに、自分の活動を振り返り、「どの領域」を「どの時間帯に」「どれほどの時間を使ったか」を確認しましょう。
まずは「実際に行ったタスク」と「費やした時間」を紙などに書き出します。
そのあと、タスクを第1~第4領域のいずれかに振り分けていきます。
各領域に費やした合計時間をパーセンテージ化すると、視覚的把握しやすくなり、改善点も見つけやすくなります。
1日の活動時間が16時間の場合、各領域に費やした時間を分析してみましょう。
例:
- 第1領域:計2時間(12.5%)
- 第2領域:3時間(18.75%)
- 第3領域:3時間(18.75%)
- 第4領域:8時間(50%)
改善案:
- 第1・3領域の合計が20%以下が望ましいので、もう少し減らした方が良さそうだ
- 第2領域を60%以上にすることを目標に、さらに時間を増やしていきたい
- 第1・2領域の合計は80%以上を目指すと良い
ステップ3:手順に従って第2領域のタスク以外を減らす
このマトリクスで目指したい目標は、第2領域(重要だが緊急ではない)のタスクに多くの時間を費やせている状態になることです。
現状を把握できたら、第2領域以外のタスクを減らせないかを考えましょう。
以下に「新しいことを始めるためのタスクを減らし方」を書きましたので、参考にしながら第2領域の行動を増やしていきましょう。
手順1:第4領域(緊急でも重要でもない)のタスクを優先してやめる
「現時点で不要だと思うタスク」は第4領域である場合がほとんどです。
不要なタスクの特徴として、罪悪感とかモヤモヤっとした負の感覚が残ることが多くあります。
まずは、不要なタスクをやめて、代わりにやりたいタスクを予定に組み込むようにして下さい。
必要になるタスクも取り払ってしまう可能性もありますが、仮に重要なら後から戻せば良いだけの話です。
手順2:自分にとって重要なことを把握して、明確な目標を掲げる
基本的には、不要なタスクを辞めたことで空いたスペースに「重要な予定を入れる」という流れになります。
ただし、もし「目標設定ができていない」、「自分にとって重要なことが分からない」という方がいれば、それらを優先的に明確化しておきましょう。
長期的に見た場合、駛馬に上記を把握できているかどうかで、将来的な結果に雲泥の差が出てしまうからです。
私のコンテンツではありませんが、こちらのチャンネルで紹介されている価値観マップを参考にしながら考えてみると良いかもしれません。
重要なことが分かったら、それをもとに目標を立ててみてください。
そもそもゴール設定をしていなければ、今からとる行動指針も定まりません。
手順3:緊急のタスクを優先して減らす
第4領域のタスクをある程度削ったら、1と3に該当するタスクを減らしていきましょう。
理由は、「不安」などの負の感情が生産性の低下につながることが確認されているからです。
緊急性が高いタスクが多いほど、負の感情が付きまといやすくなるため、まずは緊急性の高い行動から片付けることを意識してください。
第1領域のタスクの対処法:普段から第2領域の重要な準備や予防に時間をかけることを心がける。
⇒計画的に対応することで、期限が差し迫る状態にならないように調整できるため、心にゆとりをもって対応できるようになるでしょう。
第3領域のタスクの対処法:「断ること」や「委任すること」を選択肢に入れる
この領域のタスクが多すぎると自分の生産性が落ちるため、相手と相談しながら、ときには断ることも大切です。
また、委任したり、優先度を低くして後回しにしたりすることも有効でしょう。
タスク管理をする上での4つの注意点
基本的に上記の流れで行えば大丈夫なのですが、その際の注意点として2つ紹介します。
注意点①:タスクはなるべく1つずつ辞めること
タスクを減らす際は、欲張らずに1つずつ止めていくことを心がけましょう。
つい一気にいくつものタスクをやめたくなりますが、急に多くのことをやめると、どれも中途半端になってしまう可能性が高く、元の習慣に戻されやすくなります。
たとえば、「毎日チェックしているSNSの回数を減らす」「夜のテレビ視聴を週に1日だけにする」など、具体的なタスクを1つ選んで、数週間止めることを継続してみましょう。
その1つのタスクが習慣から外れるまで継続できたところで、次のタスクを減らしていくと無理なく進められます。
「まずは1つに絞って取り組むことで、成功体験を積み重ねていく」と考えると、達成感も得られ、さらに続けやすくなります。
注意点②:時間を空ける目的で時短テクニックを使わない
本編では関係ない内容にはなりますが、「時短テクニック」に関してこの記事を読む人が陥りやすい罠があるので併せて触れておきます。
新しいことをするために、時間テクニックを学ぼうとする人がいます。
確かに行動しながら、そのタスクの効率を上げるには有効な手法はたくさんあります。
そこに関してはぜひ取り入ることをおすすめしますが、「新たなタスクを入れるため」に時短テクニックを使っても効果がない点には注意が必要です。
――時短できた分、時間は空くのでは?
そう思った方もいるかもしれません。
確かに、技術の向上で作業効率は上がっているのですが、そのタスクとして費やす時間は結局変わりません。
イメージしやすいように「学校の時間割」にたとえてみましょう。
この日にやる授業内容が終わったとしても、先生は時間が来るまで類似問題を出したり、追加で解説したりして、時間を調整していませんでしたか?
その時間で学ぶ目標が終わっていても、時間が来るまでは授業は終わりません。
時短テクニックでも同じことが起きます。
結局のところ、時短テクニックを使って効率化したところで、「空いた時間」が必ずしも新しいことに使われるわけではありません。
ですので、時間を空ける目的で時短テクニックは学ばないようにしてください。
数学の授業をやめない限り、新しい科目の予定を入れられないのと同じように、時間を空けたいなら元々入っていた予定(習慣)をやめないといけません。
時間の悩の解決のために、時短テクニックより習慣の改善を優先する
注意点③:緊急中毒にならないようにする
緊急のタスクを片付けることに集中する際、注意したいのは「緊急中毒」になることです。
多くの人が「緊急=重要」と勘違いしがちで、その結果、第3領域(緊急だが重要ではないタスクばかりに時間を取られることがあります。
忙しく働いているのに成果が出ない人は、この罠に陥っている可能性があります。
緊急のタスクを片付ける前に②の重要なタスクを優先するよう紹介したのは、このためです。
重要なことを明確にしないと、不要なタスクに追われ、かえって時間を浪費することになりかねません。
ここまで進んだ方は、重要なことを把握できているはずなので、まずは緊急タスクを片付けて、空いた時間を本当に重要なタスクに使いましょう。
注意点④:心を豊かにするタスクを大切に
リラックスや気晴らしの行動を、第4領域(無駄な時間)と同じように扱ってしまっていませんか?
休むことを「怠けること」と捉えてしまうと、心身のバランスが崩れ、かえって効率が悪くなることがあります。
仕事に追われる日々でも、心を豊かにする時間や人間関係を大切にすることは、長期的に見て大切です。
たとえば、「週末に家族と過ごす時間を確保する」「お気に入りの本を読む時間を作る」「友人と会話を楽しむ」といった時間は決して無駄ではありません。
こうした時間があることで、安心感や心のゆとりが生まれ、仕事や生活にも良い影響を与えます。
「休むのも仕事の一部」と考え、心のゆとりを作る行動を積極的に取り入れましょう
緊急度と重要度のマトリクス まとめ
「緊急度と重要度のマトリクス」は、日々のタスクの優先順位に応じて整理し、本当に大切なことに集中できる環境を整えるための有効な方法です。
以下に、マトリクスを活用するポイントをわかりやすくまとめました。
- 第1領域(緊急かつ重要):すぐに対応が必要で、放置すると大きな影響が出るタスク。例:締め切り間近のプロジェクトや急なトラブル対応。
- 第2領域(重要だが緊急ではない):長期的に価値があり、安定した成果に結びつくタスク。時間をかけるほど将来のリスクも減らせます。例:将来の計画、スキルアップ、健康維持。
- 第3領域(緊急だが重要ではない):緊急性はあるが、優先度が低いタスク。見直しや他者への委任が効果的です。例:急な頼まれごと、会議の対応。
- 第4領域(緊急でも重要でもない):無駄になりやすいタスク。リラックスのための時間として計画的に利用するか、思い切って削減しましょう。例:SNSのチェックや長時間のテレビ視聴。
上記の領域に対して「どのように時間を使っているか」を意識することで、より重要なことに集中しやすくなります。
まずは、自分のタスクをマトリクスに当てはめて整理してみましょう。
マトリクスを活用し、毎日をより価値ある時間で満たし、充実した日々を手に入れてくださいね。