30歳なりたてのころ、私は起業目的で参加したセミナーで50万円をドブに捨てました。
経験があって共感してくれる人もいるかもしれませんが、「高額商品に手を出す人の気持ちが理解できない」と思う人もいるかもしれません。
一方で、この記事を見ているってことは、高額商品を買ってでも自分を磨きたいと思えるぐらい向上心のある方だとお見受けします。
今回の記事なのですが、できれば両方の方に見てもらいたい記事です。
というのも、「自分は大丈夫」と思うぐらい警戒心が強い人ほど、うまく警戒心を解かれてしまうと購入してしまう可能性が高いからです。
この記事では、「私が高額商品をいくつか購入してきた過程での学びを基に、高額商品との付き合い方」についてまとめた記事となっています。
警戒心が強い人も高額商品に注意が必要
高額商品を取り扱う人は、「人を信用させるプロ」という前提で接するべきです。
警戒心が強い人ほど相手がプロであることを軽視しがちで、付け込まれやすい傾向があります。
また、警戒心が強い人は、一度心を開いてしまうと、警戒心があまりない人以上に相手を信じてしまいがちです。
心理学では、このような現象を「防御崩壊効果」と呼びます。
長期間の警戒によって強く保たれていた防御が急に緩むと、かえって過剰な信頼を寄せてしまうとされています。
この防御崩壊によって心理的バランスが崩れると、否認や合理化といった心のブレーキも働きにくくなり、冷静な判断が難しくなるのです。
その結果、相手の言葉を信じ込み、高額商品を購入してしまう危険性が高まります。
自分の警戒心の強さを過信してしまう状態が、むしろ大きな被害に遭うリスクを生んでいることを頭の隅に入れておくようにしましょう。
【参考文献】
Frontiers(2021):Editorial: Recent Empirical Research and Methodologies in Defense Mechanisms: Defenses as Fundamental Contributors to Adaptation
★防御メカニズムが崩壊した後に生じる心理的リスクについての言及されています。
今回のケースに当てはめると、もともと高い警戒心によって心理的なバランスを保っていた状態が、一気に警戒心が低下したことでバランスが崩れ、結果として信頼感が急激に高まるというメカニズムが働いていると考えることができます。
高額商品を売るプロはメラビアンの法則を自然に扱う
ところで、人とコミュニケーションをとるテクニックノウハウ自体はたくさん出回っていますよね。
昔から自己啓発のテーマとして人気のジャンルではありますが、コミュニケーションに関する本は未だに多く出版されています。
ここに関する結論としては、「テクニックだけではコミュニケーションはうまくいかない」ということです。
大体の人が初対面の人には警戒心を抱いているため、テクニックだけでこの警戒心を解くのは難しいのです。
では、どのようにしたら警戒心を解くことができるのでしょうか?
その結論はずいぶん前からでています。
メラビアンの法則――簡単に言えば、第一印象だけは徹底するということです。
高額商品を売る人は、そこらへんの素人とは比べものにならないほど自然に警戒心を解いてきます。
その人が仮に洗脳のプロだったとしたら――仮に知識がある人でも相手と向き合った地点でほぼアウトだと思った方が良いです。
実名は出しませんが、数十年前に猛威を振るったとある団体に、高学歴の人がそこそこいたのをご存じでしょうか。
頭は良かったはずですし、警戒心は人並み以上にあったはず――洗脳されれば、そんな人でもイチコロってことです。
私が高額商品を支払って失うまでの経緯
さて、少し私の話をお伝えします。
私の20代は「30歳までに会社勤めを辞めて自分がやりたいことを仕事にすること」を目標にしていました。
その1つに「小説の執筆」があったのですが、そのことを貫くために、当初から課題に思っていたことがあります。
――生きるためのお金をどうするか?
大学生当初から副業に目をつけていました。
ブログ執筆に関してもそのころから「挑戦しては挫折」を繰り返しています。
数万円程度の情報教材などを買いあさって、様々な副業に挑戦しつつも、安定した収入までにはつながらず、別の要因も相まって借金だけが膨らんでいきました。
今思えば、「副業やる前に、小説書いてみたらよかっただろうに」と思うのですが――。
ただ、その当時は「安定した収入がないと、夢を追うことができない」と本気で思っていたので仕方がありません。
小さい頃に、姉が「アイドルのオーディションを受けたい」と親にお願いしていたことがあったのですが、親は口を利かなくなるほどに断固反対の意思を示していました。
その時の記憶から、「反対されないぐらいにビジネスを成功させたら、夢を追える」と思い込んでいたようです。
そのような失敗を繰り返しながら、気づけば30歳間近。
残ったのは、大学時代と比べてほんの少しだけ利口になった頭と借金でした。
そんなある日、一通のメールが届きました。
昔から購読していたメルマガの中でたまたま目に留まったフレーズを見て、「これだ!」と直感的に申し込みしました。(一応現役で活動しているようなので、名前は伏せます)
結果は大した成果も生み出せずにサポートが終了。
「欲しいサポートが貰えないなら、自分ひとりでやっているのと変わらない」という結論が出たところで、この商品を購入したことが失敗だったと悟りました。
正直なところ、社会情勢(例のウイルス騒動)が災いしたこともあったかもしれませんが、望む結果が得られなかったのは事実。
卒業式みたいなのもあったようですが、参加せず立ち去りました。
唯一、「自分の心と向き合うきっかけができた」という点だけが収穫だったでしょうか。
私が高額商品をいくつか購入して得た3つの教訓
私のお話に付き合ってくださってありがとうございます。
さて、ここからが本題です。
ここからは、あなたが同じ轍を踏まないように、3つの教訓をお伝えします。
まぁ、結論としては「そもそも近づくな」という一言に集約されるのですが――。
1.価格で価値を判断するな
「価格が低い=粗悪、価格が高い=良質」という概念、これって本当でしょうか?
安いけど高品質で役立つものもあれば、高いけど低品質で役に立たないものもあります。
これは「価格と品質の関係づけ」に関する認知バイアスが原因です。
価格で間違った選択をしないためにも、認知バイアスがあることを理解して商品やサービスを見るように心がけてください。
さらに詳しく見たい方は↓の記事をご覧ください。
【参考記事】
2.あなたの知りたい情報は、安価で10割揃う
高額商品をいくつか購入して思ったことがあります。
大抵の場合は時間が経ってから気づくことなのですが、大抵の情報が「どこかで見たことがある情報」で構成されています。
逆説的に、その商品に出会ったから情報が目に入るようになったのかもしれませんが――いわゆる「カラーバス効果」と呼ばれるものです。
ただし、「その情報が探せば無料で手に入れることができた」という事実には変わりありません。
【参考記事】
心理学テーマ7:カラーバス効果を利用して人生を豊かにする方法
ノウハウの多くは既存の情報を組み合わせてアレンジしたもの
情報商材の本質は、「オリジナリティのある情報の提供ではなく、アレンジして既存の情報を詰め込んでいる商品」であるということです。
だから、実績がない人でも参入できる市場でもありますし、実際に体現してきた情報ではないので、粗悪な商品があふれています。
逆に、体現している人が商品提供していれば、数少ない当たり商品の可能性が出てくるのですが――。
このときに、1つだけ常に持っていてほしい視点があります。
そのような成功している人が「情報商材として不特定多数の人に提供するのか」という視点です。
情報商材に手を出す前提として「有用な商材を提供できるレベルの経験を持つ人がほとんど集まらない市場である」という考えは持っておきましょう。
副業で結果を出したりするのは、結論「正攻法かつ行動することが大前提」です。
この正攻法は、現代社会においていえば、無料もしくは安価で手に入る情報である場合が多くあります。
いかに楽して利益を得るか――人間のダメな考え方が正攻法の価値を下げているのかもしれませんね。
3.高額商品の選択はあくまで最終手段
高額商品に目が行く人の多くは、楽をするために「裏技や攻略法」を求めています。
確かに、裏技や攻略法がゼロというわけではありません。
一方で、前述したように、巷で成功者と呼ばれている人のほぼ全員が、「正攻法に沿った行動を基盤にして結果を出している」というのも真実です。
ここで、あなたに質問です。
――成功者のほぼ全員が正攻法に沿った行動をしているのに、その情報を無視してまで宝探しになるような情報を探し求めますか?
おそらく「NO」ですよね。
出回っている情報を試してみて「どうあがいても無理!」と結論づけることができるまでは、高額商品は手を出さないことを徹底してください。
――それでも高額商品を試したい。
そこまで意志が固い人は下の記事をご覧になった上で、この商品が高額を払う価値があるものだと確信してから手を出してください。
ちなみに、私は成功の保証はできないので悪しからず――。
時給換算でわかる!無意識な浪費を防ぐための時間とお金の使い方
補足:無料のサービスってどうなの?
無料のサービス提供であったり、LINEなどの登録について、これに関しても「基本的には近づかないこと」を心がけましょう。
誰が言いだしたかは定かではありませんが、「タダほど高い買い物はない」という言葉は核心をついていると私は思います。
顧客リストを集めることは商売をする上で最も重要なこと――副業などを勉強したことがある人ならピンとくる言葉ではないでしょうか。
「江戸時代の商人たちが火事の際に真っ先に持ち出すのが『顧客台帳』だった」といった逸話が残っているほど、商売を行う上で「顧客リスト」は大事な存在です。
その手段としてLINE公式アカウントやメールマガジンなどはよく用いられますね。
稼ぎにつながる本命の商品ために「無料特典や無料サービス」を用いて顧客のリストを集めているのです。
この手法はネットに限らずいたるところで使われているので、無料サービスを目にしたときには、「何の意図があるか」に注目してみるのも面白いかもしれません。
高額商品を買わないための対策に限らず、あなたのビジネスに応用も可能です。
高額商品を買う原因になるのでおすすめはしませんが、無料サービスを逆手にとることで「先出された優良な情報だけGETする」という戦略もとれるかもしれませんね。
高額商品購入で失敗しない 警戒心が強い人が陥る罠と対策3選 まとめ
今回の記事で伝えたことを下にまとめています。
粗悪な高額商品を買わないために、参考になれば幸いです。
- 前提として、高額商品やライン登録などの「提案そのものに近づかないこと」がベスト
- 「価格が高い=価値なもの」のような「価格のバイアス」があることを理解する
- 必要な情報は、無料もしくは安価な価格で出回っていることが多い
- 情報商材を取り扱う市場参入者のほとんどがオリジナリティのある有用情報を持っていないことを認識する
- 基本的に「正攻法で行動すること」が唯一の攻略法であることを念頭に置いて情報を選ぶこと
この記事はあなたが高額商品の被害にあわないために作ったものではありますが、同時にその選択ができる人を増やすことで社会に良い影響を与える目的もあります。
これは、私個人の哲学ではあるのですが、「悪い人を生み出しているのって、過去にその人が悪いことをしていることを『誰かが放置した結果』」ではないでしょうか。
人を信じることはとても良い心がけです。
しかし、厳しい見方で言えば、無条件で人を信じるのは「しっかりと相手と向き合わずに良くないことを放置している無責任者」とも捉えられませんか?
この記事に出会ったあなたは、ぜひ「自分の考えをもって、しっかりと相手に向き合うこと」を大切にしてください。
悪だくみを感じたら、「良くない行動をする子供を教育するようにすぐに突っぱねれば良い」という話です。
あなたが厳しく向き合うことが、相手にとって多くの学びをもたらす可能性もあります。
自分を守れて、他者に貢献できる可能性もある――一石二鳥ではないでしょうか。
今回は高額商品についてのお話でしたので、まずは上記の視点をもとに「高額商品を売ってくる相手について理解すること」から始めてみてはいかがでしょうか。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございます。
上記では少し厳しめの話をしましたが、実際にここまでしなければならない社会である以上そのような視点を持つことは大事です。
一方で、文中に無料のサービスについて触れましたが、中には本当にすべてをギブしてそのときの感情に浸りたいだけ――という聖女みたいな方もいるかもしれません。
まぁ私なんですけど‥‥‥(???)
という冗談はおいといて、綺麗ごとなしに伝えておきます。
仮に私が高価格帯でサービスの提供の可能性があるとすれば、私の時間を顧客サービスとして提供するような商品――例えばコーチングやコンサルとかぐらいでしょう。
私の人生において「時間は最優先事項」なので、時間を費やすプロジェクトには値を付けるかもしれません――やるとは言ってませんが。
簡単に言えば、「活動の対価で価値に見合ったお金を受けとれたらいい(=三方良し)」ぐらいの活動方針です。
私の高額商品とか見つけたときは、「相応の本気度がある」と判断しても良いですが、粗悪っぽく見えたら絶対に買わないでくださいね(汗)
この無料で手に入れられる情報内で、あなたの人生が変わればいいなとは思っています。
さんとー