私たちが日々の中で出会うさまざまな経験や学び――その一つひとつが、「やりたいこと」や「やれること」を見つける手がかりとなります。
一方で、「何が本当にやりたいことなのかわからない」「今の経験が将来にどうつながるのかイメージが持てない」と悩む方も多いでしょう。
実際には、「やってみたいこと」は突然ひらめくものではなく、さまざまなことに挑戦していく中で「これならできそうかも」と感じることが、少しずつ見つかっていくものです。
日々の挑戦や学びを重ねることが、未来を形作る大切な土台となると言えるでしょう。
この記事では、「やりたいこと」を見つけ、それを仕事につなげていくための考え方と、役立つスキルについて、マーケターの森岡毅さんが「日曜日の初耳学」で語った内容を参考に、具体的にご紹介します。
「やりたいこと」は「やれることの延長線上」にある
- 「やってみたいことは、『やれるかも』と思うことやっていった延長線上にある」。「アメリカの大統領になりたい」とは思わないのは、「全くやれそうにないことだから」
- やってみたいことは「突然雷が落ちたようにひらめく」わけではなく、「やれるかも」と思えるレベルまで到達できて初めてそのようなひらめきが起きる
- やってみたいことをつくるためには「やれることを少しずつ増やしていくこと」ということ
- 少しでも興味を持ったことは、いろいろやってみて経験を積むことが大切だ
得意・苦手にかかわらず「やってみる」
やりたいことがわからないなら、得意・苦手にかかわらず、まずはやってみることが大切です。
世間一般では、「得意なことを伸ばす時代だ」という言葉が独り歩きしています。
確かにそれは適切な方法ですが、「やりたいことが分からない人」にとっては、必ずしも当てはまるとは限りません。
むしろ、やりたいことがまだ定まっていないうちは、得意・苦手にこだわらず多くの経験を積むことで、「やってみたい」と思えるものが見つかるかもしれません。
「やりたいこと=趣味」「やれること=仕事」
仕事:「やれること」をやること(誰かに価値を提供してお金をもらって行う「プロ」)
趣味:「やりたいこと」だけをやる(お金払うだけでできること)
- 誰かに対して価値を作れる人こそプロであって、やりたいことだけ追求するだけではプロにはならない
- やりたいことからスタートして、それについて学び続けた延長線上に、天職が見つかる可能性がある
仕事として「やりたいこと」を実現するには、それを通じて他者に価値を提供する必要があります。
やりたいことを追求するだけでなく、それを「やれること」に変えていく努力が天職につながります。
「やりたいこと」と「やれること」が交わる場所が「天職」
「やりたいこと」を仕事にするためには、ただ好きなことだけを追い続けるのではなく、それに必要なスキルや知識を幅広く身につけることが欠かせません。
たとえば、カフェを経営したいと思った場合、「お店を開けばいい」というだけでは成り立ちません。
料理や接客、経営の知識、コーヒーに関する専門的な学びなど、多くの準備が必要であり、その中には自分が苦手とする分野も当然含まれるでしょう。
よく「苦手なことは得意な人に任せればいい」という意見も聞きますが、まずは自分で一度は経験しておくことをおすすめします。
なぜなら、自分がまったく経験していない分野を他人に任せるのは、管理が難しくなるばかりか、万が一ミスが起きたときに大きなリスクを抱えることにもなりかねないからです。
さらに、協力してくれる相手が見つからない場合には、苦手なことも自分一人でやらなければならない場面も出てきます。
そうなると、せっかく「好きでやりたい」と思っていたことでも、苦手な部分が負担になってしまい、好きだったことを嫌いになってしまう可能性もあります。
若いうちに失敗覚悟でたくさんの経験をしておく
いずれにせよ、もしあなたが天職を探すのであれば、苦手なことを含めて「やれること」を増やしておく必要があるでしょう。
すべてを委任する前に、まずは自分で少しでも取り組んでみることが、長い目で見ると大きな助けになります。
特に若いうちは、多少の失敗も許容されることが多いので、最初から「得意」「不得意」で分けずに、苦手なことにも挑戦してみましょう。
こうした経験を積むことで、後々「ここは自分でやるべきか、それとも信頼できる人に任せるか」と、適切な判断ができるでしょう。
仕事において「やりたいこと」と「やれること」がしっかりかみ合ったとき、それが「天職」になるのです。
どの分野でも磨いたら役立つポータブルスキル
やりたいことを仕事にするために役立つスキルとして、以下の5つが考えられます。
「やりたいことが明確になっていない」場合でも、自己投資として身につけておくときっとプラスになるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.コミュニケーション能力
どの仕事でも、他の人との意思疎通はとても大切です。
相手の意図を正しく理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力は、チームワークや信頼関係を築く上でとても役立ちます。
苦手なことを委任する際にも、コミュニケーション能力が大きくかかわってきます。
2.問題解決力
困難に直面したとき、状況を冷静に分析し、最適な解決策を見つけ出す力は、どんな仕事でも欠かせません。
いろいろな課題に取り組む経験が、この力を自然に鍛えてくれます。
3.タイムマネジメント
限られた時間をどう使うかは、仕事の成果に直結します。
スケジュールをうまく管理する力は、仕事をスムーズに進めるための基本です。
4.自己管理能力
モチベーションを維持し、計画的に行動する力は、特にフリーランスや経営者など、自分で自分を律する場面で必要です。
セルフマネジメントが身につけば、目標達成までの道筋がしっかりと見えてくるようになります。
5.学び続ける力(リサーチ力・柔軟性)
変化の早い時代では、新しい知識をどんどん取り入れる姿勢が求められます。
学び続ける力やリサーチする力、変化に柔軟に対応する姿勢は、どの分野でも強い武器になります。
人生に無駄なことは何一つない
人生を送る中で、さまざまな苦労や経験があると思うが、その経験は確実に今のあなたの糧となっています。
昔できなかったことでも今できていることはたくさんあって、必ず生活のどこかに役立っているはずです。
しかし、中には「自分の経験は本当に役に立っているのだろうか?」と思っている方もいるのではないでしょうか?
もし仮に今までの経験が無駄になっているとすれば、それはせっかく得た経験や学びを活かさずに終わらせてしまう場合でしょう。
- 手に入れた経験や知識を自分の人生に応用していますか?
- 失敗や学びから目を背けていませんか?
- 学んだあとに行動に落とし込んでいますか?
- 経験を活かすチャンスを見逃していませんか?
経験を振り返る時間をつくる
どんな経験も無駄にしないためには、定期的に自分の経験を振り返る時間を持つことが大切です。
どんなに大切な経験や学びでも、放っておくと脳が「それほど重要ではない」と判断し、記憶に残らなくなることもあります。
同じ失敗を繰り返してしまう人の多くは、経験や学びを振り返らないまま忘れてしまっていることが多いようです。
たとえば、週に一度でもいいので、「今週、どんな学びや気づきがあったか?」を思い出し、手帳やノートに書き留めてみましょう。
どんなに小さなことでも書き出しておくと、次の目標や改善点が見えてきます。
また、過去のノートを読み返すと、「あの時の経験が、こんなところで役立っているんだ!」と気づく場面も増えていくはずです。
「やりたいこと」を見つける方法と「やれること」の重要性 まとめ
今回の記事では、マーケター森岡毅さんが語った「やりたいこと」と「やれること」の2つの視点を基に、天職を見つけるためのステップや役立つスキル、さらに経験の振り返りの大切さについてご紹介しました。
今回の記事で伝えた内容をいかにまとめます。
- やりたいことを見つけるには、まず「やれそうなこと」を広げることが大切
まずは、得意・苦手に関係なくさまざまなことに挑戦してみましょう。自分の興味が湧く分野や「やってみたいこと」が少しずつ見えてくるはずです。 - 「やれること」は他者に価値を提供できること
仕事とは「誰かに価値を提供すること」、趣味は「自分がやりたいこと」を楽しむこと。やりたいことから始め、それを「やれること」にできることで、天職に近づけます。 - 「天職」に必要なスキルを身につける
天職を目指すには、ただ「やりたいこと」を追求するだけでなく、必要なスキルや知識を広く学ぶことが重要です。特に、コミュニケーション能力や問題解決力、タイムマネジメント力など、「どの分野でも役立つスキル」に自己投資することは将来に役立ちます。 - 経験を無駄にしないために、定期的な振り返りを
得た経験や学びを忘れずに次へ活かすためには、定期的に振り返る時間を持つことが大切です。週に一度、学びや気づきを手帳に書き留め、後で読み返してみましょう。
やりたいことを仕事にしたいと考えている方は、この記事で紹介したステップを参考に、まずは「やれること」を広げてみてください。
やれることの積み重ねが、あなたの「本当にやりたいこと(=天職)」に導いてくれるはずです。
【今回の参照動画】
YouTube:日曜日の初耳学【公式】様より
【未公開】最強マーケッター・森岡毅の熱血授業!悩みの特徴とは?悩みは解決するものではなく付き合っていくもの【配信オリジナル】