✅続けたい習慣が定着しない理由がわかる
✅無意識のうちに悪い習慣に流されるのを防げる
✅If-Thenルールを活用し、理想の行動を自然に習慣化できる
行動を継続させるには、「意志の力」よりも「環境づくり」や「仕組みづくり」の方が重要です。
このカギを握るのが、習慣のスイッチとなる「トリガー」と、それを定着させる「アンカー」の活用です。
今回は、If-Thenルールを使って習慣を定着させる実践的な方法を、「トリガー」と「アンカー」の視点から詳しく解説します。
トリガーとアンカーを理解すれば、あなたが理想とする習慣も自然と身につきますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね
If-Thenルールで習慣を変えるための基礎知識
✅あなたの行動のほとんどは無意識に決まっている
✅習慣を作るカギは「トリガー」と「アンカー」
✅If-Thenルールを活用すると、望む習慣を定着させやすい
行動はトリガーとアンカーによって無意識に影響を受けている
私たちの1日の行動を振り返ると、ほとんどの行動は無意識に決まっています。
🔵朝起きて顔を洗う
🔵コーヒーを入れる
🔵スマホでニュースをチェックする
こうした行動はすべて「習慣」として無意識に行われています。
そして、この「習慣」を生み出しているのがトリガー(きっかけ)とアンカー(習慣の土台)です。
✅朝、スマホのアラームを止めると【トリガー:目覚め】、同時にSNSを開いてしまう【アンカー:スマホの存在】
✅仕事でストレスを感じると【トリガー:ストレス】、甘いものを食べたくなる【アンカー:過去の経験】
✅ランニングシューズを履いたら【トリガー:運動の準備】、運動を始める【アンカー:運動の開始】
実は、新たな習慣を定着させるために、この仕組みを活かしたのが「If-Thenルール」です
If-Thenルールとは?
「もし(If)〇〇の状況になったら、そのとき(Then)△△をする」という形で、あらかじめ行動を決めておく習慣化の手法です。
✅「もし朝起きたら(If)、まず水を1杯飲む(Then)」
✅ 「もし仕事中にスマホを触りたくなったら(If)、深呼吸を3回する(Then)」
✅「もしジュースが飲みたくなったら(If)、代わりに炭酸水を飲む(Then)」
このIf-Thenルールを使うことで、「取り入れたい習慣を定着しやすくし、やめたい習慣を手放しやすくなる」というメリットがあります
トリガーとは?行動を引き起こす「きっかけ」
行動のきっかけとなる「刺激」のこと
🔹コンビニの前を通ると、ついコーヒーやお菓子を買ってしまう
🔹時計を見て「もうこんな時間か」と思うと、なんとなくSNSを開いてしまう
🔹疲れたと感じた瞬間に、ついスマホを手に取ってしまう
🔸パブロフの犬
代表的な例が、ロシアの生理学者パブロフによる実験です。
ロシアの生理学者イワン・パブロフは、犬にエサを与える前に毎回ベルを鳴らすことで、最終的にベルの音を聞いただけで唾液が分泌される条件反射を作り出しました。
この実験からも分かるように、私たちの行動は特定のトリガーによって無意識に引き起こされるのです。
トリガーの正体とは?トリガーの種類をもとに解説
✅環境トリガー(視覚・音・匂いなどの刺激)
例)デスクの上にお菓子が置いてあると、つい食べてしまう
✅時間トリガー(特定の時間やタイミング)
例)お昼休憩が終わると、SNSをチェックする
✅感情トリガー(特定の感情が行動を促す)
例)ストレスを感じると甘いものを食べたくなる
✅人間関係トリガー(周囲の行動に影響を受ける)
例)家族がテレビを見ていると、自分もつい一緒に見てしまう
✅行動トリガー(ある行動が次の行動につながる)
例)仕事を始める前に、必ずタスク管理アプリを開く
トリガーを意識することのメリット3選
✅ 悪い習慣を防ぐことができる
例)スマホを触るトリガーが「机の上にスマホを置いていること」だった場合:
スマホを別の部屋で保管するなどの「対策」をとる
✅ 良い習慣を作りやすくなる
例)運動の習慣を作りたい場合:ランニングシューズをすぐ履ける位置に置くなどの「事前準備」を行う
✅ 行動のコントロールがしやすくなる
例)特定の行動を辞めたい場合:ストレスを感じると甘いものを食べるのではなく、水を飲むといった「代替え行動」に置き換える」
例えば、「仕事中にスマホを触りすぎてしまう」という悩みがあるなら、「もし(If)スマホを触りたくなったら、(Then)その場で深呼吸を3回する」のように設定すると良いでしょう。
アンカーとは?行動を継続させる「固定要因」
トリガーを意識するだけでは不十分なのかな?
そのカギとなるのが、これから紹介する 「アンカー(固定要因)」 です。
アンカーとは?
🔴
🔹(トリガー)試験前に緊張すると、(アンカー)手汗をかく
🔹(トリガー)お気に入りのカフェに行くと、(アンカー)リラックスできる
「良いアンカー」と「悪いアンカー」
ここでは、良いアンカーと悪いアンカーの例をそれぞれ紹介します
✅行動を継続しやすくする
✅モチベーションを高める
✅望ましい習慣を得る
🔹毎朝コーヒーを飲みながら、その日の目標を書く(コーヒーが目標設定のアンカー)
🔹運動前にお気に入りの音楽を聴く(音楽が運動習慣のアンカー)
🔹仕事を始める前に、机を整理する(整理整頓が集中のアンカー)
✅望ましくない行動を定着させてしまう
✅無意識に悪い習慣を繰り返してしまう
🔹ストレスを感じると、ついジャンクフードを食べる(ストレスが暴飲暴食のアンカー)
🔹帰宅後にソファに座ると、YouTubeをダラダラ見てしまう(ソファが怠惰のアンカー)
🔹ベッドに入ると、無意識にスマホを触ってしまう(ベッドがスマホ依存のアンカー)
①環境を変える
🔹運動の習慣をつけたいなら、トレーニングウェアを目につく場所に置く
🔹スマホを見すぎるなら、寝る前にベッドの近くに置かない
②小さな成功体験を積み重ねる
🔹朝起きたら1分だけストレッチする(「朝=ストレッチ」のアンカー)
🔹毎日1行だけ日記を書く(「夜=日記を書く」のアンカー)
③ポジティブな感情を活用する
🔹運動後に自分を褒める(「運動=達成感」のアンカー)
🔹仕事が終わったら、お気に入りのカフェで一息つく(「仕事=ご褒美」のアンカー)
If-Thenルールとアンカーの関係
If-Thenルールを成功させるためには、「アンカーを意識すること」が不可欠です。
✅もし(If)朝起きたら、(Then)まずストレッチをする
→「朝=ストレッチ」のアンカーができる
✅もし(If)仕事を始める前にデスクを整理したら、(Then)その後すぐに最重要タスクに取り組む
→「整理整頓=集中」のアンカーができる
✅ もし(If)夜になったら、(Then)その日1日の振り返りをノートに書く
→「夜=振り返り」のアンカーができる
✅トリガー(きっかけ)は行動を引き起こし、アンカー(固定要因)が行動を定着させる
✅If-Thenルールを使うことで、良いアンカーを意図的に作れる
✅「環境を変える」「小さな成功体験を積む」「感情を活用する」と、アンカーを強化しやすくなる
If-Thenルールを日常生活に活かす具体例
ここからはIf-Thenルールの具体例を紹介しますね
悪い習慣を減らすIf-Thenルール
例1.スマホをダラダラ触る習慣を減らしたい場合
🔵もし(If)スマホを触りたくなったら、(Then)その場で深呼吸を3回する
⇒無意識にスマホを手に取る前にワンクッション置くことで、行動の流れを断ち切れます。
🔵もし(If)仕事中にスマホを見たくなったら、(Then)まず10分だけ集中して作業する
⇒「とりあえず10分だけ」と決めることで、集中するきっかけを作れます。
例2.間食を減らしたい場合
🔵もし(If)お菓子を食べたくなったら、(Then)まず水を1杯飲む
⇒「本当にお菓子を食べたいのか?」を確認する時間を設けることで、衝動的な行動を抑えられます。
🔵もし(If)夜9時を過ぎたら、(Then)冷蔵庫の前に立たない
⇒普段の行動をもとにルールを決めることで、夜の間食を防ぎます。
例3.ダラダラ過ごす時間を減らしたい場合
🔵もし(If)ソファに座ったら、(Then)すぐに立ち上がってストレッチをする
⇒ソファに座ってダラダラしがちなので、別の行動をセットにして回避します。
🔵もし(If)YouTubeを見たくなったら、(Then)まず5分だけ部屋を片付ける
⇒悪習慣のトリガーを意識し、別の行動を組み合わせることで抑えます。
良い習慣を増やすIf-Thenルール
例4.運動の習慣をつけたい場合
🔵もし(If)朝起きたら、(Then)1分間ストレッチをする
⇒運動のハードルを下げることで、継続しやすくなります。
🔵もし(If)仕事を終えたら、(Then)家に帰る前に10分歩く
⇒既存の習慣に行動を組み合わせることで、習慣化しやすくなります。
例5.読書の習慣をつけたい場合
🔵もし(If)夜寝る前になったら、(Then)5分だけ本を読む
⇒決まった時間に読書をすることで、習慣化しやすくなります。
🔵もし(If)電車に乗ったら、(Then)本を開く
⇒通勤時間を活用することで、自然に習慣化できます。
例6.毎日の振り返りを習慣化したい場合
🔵もし(If)夜9時になったら、(Then)その日を振り返るノートを書く
⇒決まった時間に実行することで、習慣化しやすくなります。
🔵もし(If)ベッドに入ったら、(Then)今日の良かったことを1つ思い出す
⇒ポジティブな習慣を意識的に取り入れることで、その日を良い気分で終えられます。
仕事や勉強に活かせるIf-Thenルール
If-Thenルールを使うことで、以下のような他のテクニックと掛け合わせて実践できるので、一例を紹介しますね
例7.仕事の集中力を高める
🔵もし(If)仕事を始める前に、(Then)タスクを3つ書き出す
⇒目標を明確にすることで、集中力の向上が期待できます。
🔵もし(If)メールを開いたら、(Then)3分以内に返信するか、タスクとして登録する
⇒メールの処理を後回しにしないためのルールです。
例8.勉強を効率よく進める
🔵もし(If)勉強を始めたら、(Then)タイマーを25分セットする
⇒集中力を維持するために、ポモドーロ・テクニックを使っています。
🔵もし(If)勉強が終わったら、(Then)次の勉強内容を決めておく
⇒勉強のハードルを下げるために、次回の予定を事前に決めておきます。
If-Thenルールを定着させるためのコツ
ここからは、If-Thenルールをしっかりと定着させるためのコツを5つ紹介します
✅明確かつ具体的なトリガーを設定する
✅トリガーを意識して環境を整える
✅行動のハードルを低くする
✅継続が途切れたときのif-thenルールを決めておく
✅自分に合った「ご褒美」を設定する
コツ1:明確かつ具体的なトリガーを設定する
「もし(if)気が向いたら、(Then)本を読む」
⇒「気が向いたら」というタイミングが曖昧 なので、実行するのが難しくなります。
「もし(If)夜9時になったら、(Then)その場で本を開く」
「もし(If)朝のコーヒーを飲み終えたら、(Then)5分だけ本を読む」
⇒トリガーを明確な時間や行動に結びつけることで、習慣化しやすくなります。
コツ2:トリガーを意識して環境を整える
「読みたい本が本棚の奥にしまわれている」
⇒すぐに手に取れないため、行動しづらい
「もし(If)夜9時になったら、(Then)本を開く」というルールを作ったら、(環境)寝る前に枕元に本を置いてみる
「もし(If)朝起きたら、(Then)ストレッチをする」というルールを作ったら、(環境)ヨガマットをリビングに敷きっぱなしにしておく
⇒「やるべきことが目に入る環境」を作ることで、If-Thenルールを実行しやすくします。
コツ3:行動のハードルを低くする
「『毎日30分のジョギング』を目標にする」
⇒普段運動習慣がない人がチャレンジするには荷が重い目標です
「もし(If)朝起きたら、(Then)1分だけストレッチをする」
「もし(If)仕事が終わったら、(Then)エレベーターではなく階段を使う」
⇒まずは「ハードルを低くする」ことを意識して、慣れてきてから量を増やすようにしましょう。
【参考記事:スモールゴールについて詳しく知りたい方】
スモールゴールの活用法:初心者が目標を達成するための3つのコツ
コツ4:継続が途切れたときのif-thenルールを決めておく
事前に習慣が途切れたときのルールを決めておきましょう
「習慣が途切れたときの行動を用意していない」
⇒行動を再開するきっかけがなくなってしまう
「もし(If)3日以上習慣を続けられなかったら、(Then)すぐにスケジュールを見直す」
「もし(If)運動をサボってしまったら、(Then)翌日は必ず5分だけストレッチする」
⇒事前にルールを決めておくことで、習慣が途切れるリスクを最小限にできます。
コツ5:自分に合った「ご褒美」を設定する
「もし(If)1週間毎朝ストレッチを続けられたら、(Then)お気に入りのカフェに行く」
「もし(If)1カ月間間食を控えられたら、(Then)新しい服を買う」
⇒自分にとって「嬉しいこと」を報酬として設定することが、継続のモチベーションになります。
まとめ:If-Thenルールを活用して行動を変えよう
今回は、If-Thenルールを使って行動を変える方法を、トリガー(きっかけ)とアンカー(固定要因)の視点から解説しました。
- If-Thenルールとは、「もし(If)〇〇の状況になったら、そのとき(Then)△△をする」という形で、あらかじめ行動を決めておくルールのこと
- 行動はトリガー(きっかけ)によって引き起こされ、意識することで悪い習慣を減らし、良い習慣を増やすことができる
- 行動を継続するには、刺激と反応を結びつけること(=アンカー)が大切であり、If-Thenルールと組み合わせることで習慣化しやすくなる
✅「改善したい悪習慣」と「取り入れたい習慣」を書き出してみる
✅自分の行動が「どのようなトリガーから生まれているか」を考えてみる
✅If-Thenルールを1つ作ってみる
今回学んだトリガーとアンカーを意識しながら、自分の理想の習慣を目指して活用しましょう。